マクベス  あらすじ

  訳は 『マクベス』 新潮文庫 参照


三人の魔女が登場する。

「きれいはきたない、きたないはきれい・・・」 と言いながら霧の中に消える。


マクベスとバンクォーが戦勝を挙げ、戦場から帰る途中、二人の前に、三人の魔女が現れる。

マクベスに対して、「グラミスの領主、コーダの領主、いずれは王ともなられるお方」と預言する。

バンクォーに対しては、「子孫が王になるおひとだ」という預言を残して消えた。


マクベスは現在、グラミスの領主である。

戦争から戻ったとき、王ダンカンはマクベスにコーダの領主を命じた。

預言が二つあたった。

マクベスは一人思う。

「王位を賭けた壮大な芝居には、もってこいの幕開けだ。」

しかし、マクベスは自分の中でうごめく誘惑に恐れる。王を殺すべきか・・・

「ええい、星も光を消せ!この胸の底の黒ずんだ野望を照らしてくれるな・・・」

マクベス夫人は、夫の手紙を読んでいた。手紙には魔女の言った言葉が記されている。

夫人は夫マクベスの気の弱さを知っていた。

「・・・人情という甘い乳がありすぎる。・・・野心もないではない、でもそれを操る邪な心に欠けておいでだ。・・・とてもほしがっていながら、どこまでもきれいごとでおすませになりたがる、ごまかしはいやだとおっしゃりながら、なんとしてでも勝ちたいという・・・」

夫人は決心した。マクベスの弱気を取り除いて、後押ししようと。

「さあ、早く、ここへ、その耳に注ぎ込んであげたい、私の魂を。この舌の力で追い払ってやる、運命が、魔性の力が、あなたの頭上にかぶせようとしている黄金の冠の邪魔になるものはなんであろうと。」

そこへ、王ダンカンがマクベス邸へ来るとの知らせがはいる。夫マクベスもともに帰ってくる。

夫人の決意は固い。

「さあ、血みどろのたくらみごとに手を貸す悪霊たち、私を女でなくしておくれ!
頭の天辺から爪先まで、恐ろしい残忍な心でいっぱいにしておくれ・・・
このふくよかな女の胸に忍び込み、甘い乳を苦い胆汁に変えてしまっておくれ・・・」

弱気になる夫マクベスを説得し、王殺しをけしかけるマクベス夫人。

王ダンカンはマクベス邸で眠りについている。

マクベスが眠りについた王を殺しに、忍んで来る。しかし、恐怖がマクベスに襲い掛かる。

王を殺す短剣の幻影を見るマクベス。

「・・・夜の帳につつまれた眠りを、邪な夢がたぶらかす。
・・・不動の大地、この足がどこへ向かおうと、その音に耳を貸すなよ、
足元の小石も、おれの行くえを語りさざめくな、
この場にふさわしい恐怖の静けさを破らせてはならぬ。・・・
さあ、行け、それで、終わりだ。
鐘がおれを呼んでいる。
聴くのではないぞ、ダンカン、
あれこそ、貴様を迎える鐘の音、天国へか、地獄へか。」

門番を酔わせて、眠らせたマクベス夫人。

そして、眠っている王を殺してきたマクベスに幻聴が聞こえる。

「もう眠りはないぞ!マクベスが眠りを殺してしまった。」

そこに、門をたたく音が聞こえる。

マクベスは悔恨をこめて叫ぶ。

「ああ、その音でダンカンを起こしてくれ!頼む、そうしてくれ、出来るものなら!」

王暗殺の知らせが、マクベス夫妻にも届く。二人は芝居をする。

殺された王の子供マルコムとドヌルベインは、自分たちも危ないと思い、それぞれ逃亡する。そのおかげで、王殺しの嫌疑が二人にかかる。


亡き王の後を継いだマクベス。

王になったマクベスが恐れるのはバンクォーである。

あの魔女たちがバンクォーに言った。「子孫が代々王となる」と。

ということは、マクベスが現在手にしている王の座をバンクォーの息子に取られる危険がある。

マクベスは、バンクォーの元に刺客を送る。その子フリーアンスも共に殺すよう命じた。

しかし、刺客たちは子のフリーアンスを取り逃がしてしまう。

マクベスは再び、疑惑と恐怖の虜となる。


マクベスは魔女の元へ訪れる。自分の不安と恐怖を取り除くために。

魔女はマクベスに言う。

「・・・気をつけろよ、マクダフに。」
「・・・マクベスを倒す者はいないのだ。女の生み落とした者のなかには。」
「・・・マクベスは滅びはしない、あのバーナムの大森林がダンシネインの丘に攻め上って来ぬかぎりは。」

マクダフがイングランドに落ちのびた、との知らせがマクベスの元に届く。

マクベスは、マクダフの残された妻子ものとも皆殺しにする。

マクベスは恐怖政治家になっていく。


一方、イングランドでは、マクベスが殺したダンカン王の息子マルコムと、落ち延びてきたマクダフが共に決起する手はずを整えていた。


マクベス邸では、マクベス夫人の夢遊病の症状が悪化していく。

夜毎、灯りをもって歩き回る。時折、手を洗っているしぐさを見せ、うわごとのように、なにか口にする。

「まだ、ここに、しみが」
「消えてしまえ、呪わしいしみ!・・・地獄ってなんて陰気なのだろう!
・・・でも、誰だって思いもよらないでしょうね、年寄りにあれほどの血があるなどと?」
「・・・まだ、血の臭いがする・・・」
「バンクォーはもう墓の中、出て来られるはずはない・・・」

マクベスの元に、一万の敵兵が近づいている、と報告が入る。

マクベス夫人の病気の悪化も伝えられる。

「・・・心の病は医者にはどうにもならぬのか?
記憶の底から根深い悲しみを抜きとり、脳に刻まれた苦痛の文字を消してやる、それができぬのか・・・
胸も晴れ晴れと、人を甘美な忘却の床に寝かしつける、そういう薬はないというのか?」

マクベス夫人の死の知らせが来る。

「あれもいつかは死なねばならなかったのだ、
・・・消えろ、消えろ、つかの間の灯火!人の生涯は動き回る影にすぎぬ。あわれな役者だ、ほんの自分の出場のときだけ、舞台の上で、みえを切ったり、喚いたり、そしてとどのつまりは消えてなくなる。・・・」

バーナムの森が動いた。イングランドに逃げ延びたマクダフ、殺されたダンカン王の息子たちの兵である。兵士たちの頭上に木の枝をかざして進軍してきたのである。

魔女がマクベスに言っていた。

「恐れるな、マクベス、バーナムの森がダンシネインにやってくるまでは」

その森が、今、マクベスのいるダンシネインに向かってきているのである。

戦いが始まった。


ついにマクベスの前に、マクダフが現れる。

マクベスは言う。

「おれの体に傷はつけられぬぞ。・・・女から生まれた人間には手がつけられないのだぞ」

マクダフは言う。

「・・・このマクダフは生まれるさきに、月足らずで、母の胎内からひきずりだされた男だぞ」

ついにマクベスの首がとられた。



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